99年06月30日(水曜日)

 最近よく、「こういう人はいないか....」といろいろなところから電話やメールで聞かれる。今日来た話は、「日本株の投資業務が出来て、英語が出来る人」。こういうのを私は「リャンシ」と呼んでいる。麻雀でいう「二役必要」ということですが、麻雀と同じく「二役」揃えるのはこれが結構難しいのです。「一役」はいくらでもいる。あいつも、あいつも、ああ..あいつも......というわけ。

 しかし、「リャンシ」となると突然誰もいなくなる....というのはちょっと大袈裟だが、突然候補が少なくなる。本当です。人材募集は、まだあるんですよ。「ネットに詳しくて、金融の知識も豊富」といった人を捜しているところ(大手ネットワーク会社 誰かいたら私にメールを)も。ミスマッチでんな。多分「三ハン縛り」(三条件)だと、ごく少数しかいないのでしょう。しかし、今という時代は少なくとも「リャンシ」を必要とする職種が多い。

 多分世界中の経営者に、従ってビジネスマンに求められる「役」は、英語とIT能力なんでしょう。まあそれは最低限必要な....という「役」に入るのでは。そのほかにもいっぱいあると思う。「役」さえ揃えられれば、職はかなりあるというのが私の実感です。見ると周囲の人間でも、英語の勉強を開始したコンピューター・ヲタクの方々とか。頑張ってちょうだい.......。実は小生も、会話には特に自信があるわけではない。だからどこかで「調整」しなければならないと思っているのです。
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   FRB は予想されたとおりFF金利を0.25%引き上げて、年率5%としました。一番関心の高かったスタンスについては、「中立」とした。発表文は以下の通りです。

Release Date: June 30, 1999

For immediate release

The Federal Open Market Committee today voted to raise its target for the federal funds rate 25 basis points to 5 percent. Last fall the Committee reduced interest rates to counter a significant seizing-up of financial markets in the United States. Since then much of the financial strain has eased, foreign economies have firmed, and economic activity in the United States has moved forward at a brisk pace. Accordingly, the full degree of adjustment is judged no longer necessary.

Labor markets have continued to tighten over recent quarters, but strengthening productivity growth has contained inflationary pressures.

Owing to the uncertain resolution of the balance of conflicting forces in the economy going forward, the FOMC has chosen to adopt a directive that includes no predilection about near-term policy action. The Committee, nonetheless, recognizes that in the current dynamic environment it must be especially alert to the emergence, or potential emergence, of inflationary forces that could undermine economic growth.

 金融市場の逼迫は緩和し、海外諸国経済はしっかりして、アメリカの経済活動は活発だ。だから昨年秋の「金融政策のめいっぱいの緩和調整」はもはや必要ない....と言っているのです。イメージとしては、私がかねて言っていた「昨年秋の3回シリーズ最後の0.25%利下げ(11月中旬)は不必要論」を認める形での、一部撤回利上げ。聞くところによれば、かねてグリーンスパンは11月の最後の利下げを指して、「あれは余計だった」と言っていたそうだ。

 なぜ「中立」に戻したのかについては、「uncertain resolution of the balance of conflicting forces」を理由としている。将来物価を引き上げる要因(労働市場に逼迫など)はあるものの、対して物価の上昇を抑制する要因(生産性の上昇など)もあって、それらの相反する要因が今後どう変化していくか分からないから...ということでしょう。

 一つまた知らない単語を使ってくれている。「predilection」。なんだろうと辞書を引くと、あれれ線がひいてある。昔調べたことがあるんですね。「好み」「ひいき」「偏愛」。「no predilection」は「中立」ということです。この「no predilection」は「当面利上げしません」と言ったに等しいので、株は150ドル以上上がって11000ドルにニアミス状態。債券は指標30年債で前日までの6%台から低下して、この水準を割って5.998%。

 実際には「中立」に戻しながら、「especially alert to the emergence, or potential emergence, of inflationary forces 」と言っているのは、まあ職業病というか、株式市場への警告というか、まあみなさん警戒は解かないようにという一般投資家に対する呼びかけ....。いずれにせよ、世界の金融市場を取り巻く大きな不安定要因がこれでなくなったと言うことです。

 今回のFOMCの決定の政策的意味合いは次の通りだと考えられます。

  1. 一部で言われていた8月の再利上げは、物価情勢、労働情勢の大きな変化がなければなくなった
  2. 当面FRBは公定歩合4.5%、FF金利5.0%で7年以上も続いているアメリカの景気拡大の行方を見守るが、物価情勢に変化がなければ年内の金利調整を今回だけで終える可能性もある
  3. 政策スタンスを「中立」に戻したと言うことは、「労働市場の逼迫」など懸念材料はあるものの、FRBは基本的にはIT技術の普及などによって生産性が上昇し、それが物価を抑制する力を高く評価している
  4. 従ってFRBは過去の利上げ期に見られたような「一定期間に渡って何回も」という引き締めスタンスは取らず、経済に働き始めた「新しい力」(new forces)に目を凝らしながら金融政策を進める


99年06月29日(火曜日)

 郵政省頑張れ......野田聖子負けるな......!!!

 インターネット用通信料金の定額制導入を巡る郵政省とNTTとの対立については、全面的に郵政省の応援をしたいと思います。正直言って、私の場合夜中のテレホーダイ時間以外にもネットワークを使うケースが多いので、我が家の毎月の電話・通信料金はかなり懐にずしりとくる金額になっている。加えて、毎月2万円弱の携帯関係(PHSを含む)。

 郵政省が目指す月額5000円弱の市内定額通話料金になると、我が家では毎月の通信に関わる費用を確実に半分以下に、場合によっては三分の一に減らせる。それが削減されれば、その分が他の用途に使えるというわけです。私と同じように、ネットへの接続時間が今でも長い人は多いでしょう。また、電話代金が高いので思い切ってやれないという人も多いに違いない。インターネットは既に社会全体のバックボーンになりつつあるのに、料金を気にしながらの使用では、多くの人は慣れたいにも慣れられないし、新しい技術を社会に溶け込ませ、それを生かしてより快適な環境を作る上でも障害になる。

 NTTは、「関東と関西の一部地域の ISDN 契約者について、月額1万円〜1万5千円程度の料金で年内試験運用開始」(29日の日経夕刊)と考えているようである。しかしこれは、かなり不公平なサービスのスタートと言わねばならない。繰り返し言うように、インターネットは既に「一種の社会基盤」「バックボーン」である。社会に参加しているすべての人がインターネットには平等にアクセスできる環境を整える必要があるし、そうしないと本当の意味でネットワーク社会は来ない。

 よく言われることだが、アメリカでは使用者とプロバイダーを結ぶ市内料金は、大部分のケースにおいて月額30ドル弱である。日本円にして、「3600円」程度。インターネットは恐らく市内にあるプロバイダーのアクセスポイントまでの電話料金がほぼすべての回線料金ですから、これが引き下げられれば利用促進に寄与すること間違いなしである。

 多分、その効果は劇的なものになるでしょう。電子商取引は急増し、子供が学校の宿題を友達とネットで交換し.....と、ネットが社会の共通基盤の一つになるに違いない。3600円とか5000円なら、今の若い女性が携帯関係に使っている毎月の料金より安い。私が知っている範囲では、彼女らのケイタイ関係支出は月1万円を軽く超えている。駅で「今着いた」とやりあったら、必ず通話料はそのくらいになる筈だ。

 5000円弱の定額制になれば、ネット関連、コンピューター関連、通信関連の需要は大幅に増加すると思われる。NTT の売り上げも、劇的な増加間違いなしだ。NTTにも市場拡大の絶好の好機である。関連商品の売り上げも、目覚ましいものになるに違いない。
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 NTTにはもう一つ是正して欲しいものがある。携帯電話です。ひどい。特に最近は。つながらない、音がひどい、取ろうとすると切れる。急速にドコモのシェアが落ちてきているそうだが十分に頷ける。私の場合、通話地域を重視せざるを得ない面があったのでドコモで来ましたが、いい加減頭にきだしている。特に最近、かかってきた電話を取ろうとしても、切れてしまうのです。

 いずれにせよ、「通信」は道路がそうであったように、経済社会の大きな「バックボーン」そのものになりつつある。電話も通信も贅沢でも何でもない、意志疎通、情報伝達、あらゆる産業の基盤になりつつある。それは、コンピューターのOS以上に重要。廉価で、その意志がある人がなるべく平等に使えるシステムの構築に全力を尽くすべきだろう。そうすることが、この後の経済活動、社会活動を豊にすると思う。


99年06月28日(月曜日)

 ほう、いよいよ始まりましたね。インターネットでのライブ・ラジオ放送配信。つまり、ラジオの受信機やCSデジタル放送で聞くのと同じ放送がインターネットに接続したパソコンのスピーカーからそのままライブで出てくるサービス。

 このサービスを開始したのはラジオたんぱ。このページから同社のインターネット・ラジオのページに飛んで、インターネット・エクスプローラーの5.0を使っている人なら右上の「IE」のバナーをクリックすればそのまま、ブラウザーにネットスケープを使っている人は MEDIA PLAYER をダウンロードすれば、それで放送がスピーカーから流れ出す仕組み。

 今この文章をたんぱの放送を聞きながら書いていますが、音声は明瞭です。今までラジオたんぱの放送は専用受信機があっても音が大きくなったり小さくなったりして聞きにくかった。その問題が、インターネット放送では完全に解消している。

 私も「ラジオたんぱ」ではソニーさんの提供で毎週金曜日の午後11時40分から30分の番組(Round Up WORLD NOW !、番組表で確認下さい)を持っていて、小野慶子さんと毎週放送をしていますが、この放送も日本時間の金曜日の午後11時40分にこのサイトにアクセスしていただければ聞けます。世界中で。(^-^)

 考えてみれば、私はずっとブルームバーグ・ラジオを聴いて、ニューヨークの交通事情に詳しかったり、マンハッタンの天気を知っている。逆に、日本で放送している私の番組をニューヨークのネット利用者が聞けても何もおかしくないわけです。技術的には。インターネットは今世界で1億7000万人程度いるらしい。日本の利用者は様々な統計の誤差はありますが、大体その一割の1600万〜1700万人。今までたんぱの受信機がどの程度出ていたのか知りませんが、インターネットの世界になると急に潜在的聴取者の層は広まる。是非、ニューヨークやロンドンなどなどにいる日本人の方々にも番組を聞いていただきたいと思います。
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 インターネット放送は、将来の放送の一つの姿なんでしょう。このラジオたんぱの放送はライブで、放送番組の蓄積をしてはいない。例えば、土曜日になって金曜日の番組を聞きたいといったニーズには今は応えられない。だから利用者が録音テープを回さねばならない事情は変わっていない。しかし考えれば、送り手のサイドにはデータがあるわけですから、それがリトリーブ出来るようにすることは出来る。回線の性能が上がり、回線料金が安くなれば利用者は音声ファイルのファイル名を確認して何時でもダウンしたり、聴取できるわけです。

 こうなれば、もう新しい時代ですね。ラジオにしろ、テレビにしろもう数年もするとすべてデジタルになる。FM だ、AM だ、さては短波だというラジオの波の区別は何もなくなるし、もっと言えばラジオとテレビの境界も限りなく曖昧になる。あまり外には出ていない話かもしれませんが、放送局の中では新しい時代をどう迎え、それにどう取り組むかが大きな課題になっている。いずれにせよ、この放送の世界も劇的に変化する。ノウハウを貯めて、トライ・アンド・エラーを重ね、アイデアを先に実現していった方が、勝者になるんでしょうね。


99年06月25〜27日(金〜日曜日)

 忙しおますな.....。何曜日に何があったか忘れそう。おまけに湿度が高い。体も天気の関係かちょっと重いですね。ははは、食べ過ぎかもしれませんが。

 いろいろな人から、news and analysisは参考になったとのメールをもらいました。いろいろな方が読んでいるんですね。あそこにも書きましたが、日本の新聞朝刊の〆直前で多くの人が全文に目を通さなかったのでしょう。でも詳しく全文を読むとああいう風に書いてある。私は「全文主義」で、何かの報告書が出たり証言が出ると、なるべく全文を読むようにする。特にグリーンスパンのそれはそうです。

 欧米の新聞記事になった部分だけ読む手もありますし、急いでいるときはそうする。しかし、全文を読むとその人の「思考プロセス」が分かるのです。「思考プロセス」を頭に入れておくと、「彼だったらこの問題をどう考えるだろうか」と推測するときにあまり外れを懸念することはない。個々の問題には、それぞれの答えが用意されている。しかし、「思考プロセス」はそう何通りもない。これさえ抑えておけば、個々の課題を方向としてその人がどう考えるか想像が付く。

 何かに書いたことがありますが、グリーンスパンは非常に思考プロセスが明確な人です。議会証言や講演録を読んでいくとよく分かる。今週の市場のポイントは、やはり29〜30日のFOMCでしょう。
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 日曜日の日経には大蔵省の次官、財務官の新聞辞令。過去には新聞辞令がひっくり返った例もありますから、本当にそうなるかどうか知りませんが、榊原財務官は退任して、黒田国際局長が財務官に。大蔵事務次官は、主税中心に歩いた薄井国税庁長官が。榊原さんは退任後どうされるのでしょうか。それが一つの注目点でしょう。

 しかし、榊原さんほど市場を動かした財務官も珍しい。相場を動かしたという意味では、「MR.YEN」というニックネームに名前負けはしていなかった。黒田さんは一度「東京マーケット・フォーカス」にゲストに出ていただいたことがあって、テレビを見ていた私の部下の女性が「あんなすてきな人が大蔵省にいたなんて....」と。丁寧で、榊原さんとはある意味で対照的。市場に対するスタンスは、すこし違ってくるでしょう。


99年06月24日(木曜日)

 23日の日経産業新聞を読んでいたら、「スピード・ゴルフ」の記事。なんじゃこりゃと思ったら、なかなかこれが面白い。ゴルフのスコアに足して、何分かかったかを競う。例えば、18ホールを60分かけて90で回ったら、その人のスピード・ゴルフ・スコアは「150」

 サイトがあるのです。URLがよく出来ている。http://www.speedgolf.com/で、そのもの。ここを眺めていたら、凄いのがいるのです。サンディエゴのトーナメントで、18ホールを「72」のスコアで「39分55秒」で回っている。よってスコアは「111.55」。これは凄い。むろん優勝。

 誰かと思ったら、この競技を考え出した Jay Larson というゴルフもまずまず、トライアスロンの選手でもあった人物。なるほど。コース設定が通常のプロの試合とどう違うのかなどはこれから見ていきたいと思うのですが、なかなか素晴らしいじゃないですか。ゴルフの18ホールはプロの試合では最低7000ヤードはある。ホールとホールの間も距離がありますから、いつも大体ゴルフがあると「7キロは歩くな...」と思ってやっているのです。

 7キロというと、マラソンの「42.195キロ」の大体六分の一。とすると、この7キロという距離は「42.195キロ」を2時間20分(140分)で走る人で、23分強かかることになる。プロのマラソンランナーが23分強かかるところを、ゴルフをやりながら40分弱で走り、しかもゴルフで72を出すんですよ。

 ということは、「スピード・ゴルフで100を切るのは、至難の業」ということになる。そうでんな、身の回りに「なかなか100が切れないんですよ....」という人がいたら、「君はひょっとしてスピードゴルフをやっているんじゃないの....」と一言言ってやってもいいですね。ま、でも、スコアの多い人ほどゴルフでも時間がかかりますから、この冗談は通じないかもしれませんけどね。

 実は先週の土曜日も、前のグループが遅いグループだったんです。まあ私はフェアウェーも、むろんのことグリーンの上は走る気がしませんが、時にやって自分がスピード・ゴルフでいくつが出るか試してみるのも面白いかもしれませんね。多分、かなり頑張って時間は2時間はかかって、90を切るのはやっとですから、120+90で210か。ゴルフのスコアじゃありまへんな........

 いずれにせよ、日本でも好き者が「全日本スピードゴルフ協会」の設立に動いていて、9月には設立予定だとか。ははは、「スピードの経済」の著者としてははいらざをを得ないでしょう。で、アメリカの協会の方には入っておきました。どんなメールが来るか楽しみ......。

 でもこのインターナショナル・スピード・ゴルフ協会(ISGA)のサイトの「ルール」というところは、読んでいくとなかなかおもしろいことが書いてある。すべてにおいて、追い越すサイドが優先するとか、靴はスチール・スパイクはだめでソフト・スパイクかランニング・シューズかだ...とか。興味のある方はどうぞ。


99年06月23日(水曜日)

 もう90才にもなろうとする親戚のご老人とほぼ半日お付き合いをして、がらにもなく「老人と都市」ってな問題をちらっと考えました。一緒に歩く。これが遅いのです。我々の歩行速度の気持ち半分。どしどし追い抜かれる。時に、その追い抜かれ方に「危ない」と感じるときがある。駅などは、人が多いですから。

 次に階段。階段は歩くよりも、もっと時間がかかる。で疲れるのか、駅の階段の途中で止まって話をする。私は、それに応じる。なかなか大変ですよ。そうこうしているうちに私も彼女と同じ気持ちになるのか、上ぼり階段が急に険しく見える。普段は何も感じないのに。駅の番線の乗り換えが大変なのです。上がって、下がって。階段は上がるのはしんどそうで、下がるのは危険に見える。

 次に自動改札での切符通過。入って通過するのですが、ここを通過するのにけっこう時間がかかるから、こちらは「大丈夫かな」と思う。途中で機械がゆっくり通過する人間を誤認識してブザーが鳴ったり、あのドアが開かなかったりしたらどうしようと思う。うまく行きましたが。

 私自身は上り階段にエスカレーターがあってもめったに乗らない人間で、階段を歩くのですが、さすがにお年寄りが一緒だとエスカレーターが必要だと思う。老人と一緒に歩くと、長い階段ではなく、一二段のビルの入り口、出口にある階段が危ないというのがよく分かる。長い階段は見て直ぐ分かるから、体が反応する。しかし、短い階段は見過ごす。で、躓く危険性が高い。

 しゃべる。これも我々の1.3倍くらいの時間がかかる。相手の話は分かっているのですが、反応が遅いし、どうしても自分中心になるから、老人は相手とペースをあわせるのは大変になる。銀行の窓口の人と話をしたのですが、私が喋ってしまっては駄目なので、彼女と銀行の人の対応を聞いていたのですが、これはなかなか両方にとって大変そう。うーん、日本のプライベート・バンキングは「年寄り相手の話し方教室」から始める必要があるな....なんて思いました。ペースがまったく違うのです。
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 別に話をまとめるつもりはないのですが、

  1. いままで邪魔くさい...と思っていた登り階段でのエスカレーターはやはり必要かもしれない
  2. 都市全体として、「段差」のない作りを追求する必要があるのではないか
  3. 各種信号の時間は、今のままで良いのか
 などのポイントを考えました。老人が一緒の時は、登り階段にエスカレーターがあるとほっとする。段差を見ると、「あぶない」と思う。信号の話は今回は実際にはなかったのですが、例えば日比谷の交差点を考えると、あれは老人の歩く速さでは緑になった瞬間から渡り始めても渡りきれないのではないか....と思うのです。

 少子高齢化というのは、進めば都市の理想的な形の変化まで呼ぶんだろう....ってなことを考えました。でも、我が家の親戚のこのおばあちゃんは、めちゃめちゃ元気なんですよ。この前彼女の家に行ったら、「今度これを取り始めたの.....新聞より良く分かるは.....」とForbes(日本語版です)を出してきたのにはさすがに仰天しました(^_^)(^_^)。でも、身体機能は確実に低下している。そこが問題です。


99年06月22日(火曜日)

 ソフトウエアは切り替わりの時が一番難しいですね。私はもうずっと前に、アドビの acrobat reader を4.0j に切り替えていたので気が付かなかったのですが、伊東さんからメールで、

「さて最新の news and analysis の PDF のバージョンが変わりましたら,私の Acrobat Reader3.0では読めませんでした。Diary のほうでは4.0にアップグレードした旨を読みましたので,なるほどと分かりましたが......」
 と。そういう方は他にいますかね。もっともこのコーナーと news and analysis のコーナーはかなり読者層が違うので、ここに書いたからといって全員の人に聞けるわけではないのですが、reader まで大きな機能の違いがあるとは思いませんでした。幸いまだ adobe acrobat の3.0j のままのマシンが有りましたから、そちらでファイルを再制作してFTPしておきました。

 私のように基本的には個人でソフトウエアを全部揃える人間は、出たら直ちに最新バージョンに乗り換える。しかし、例えば企業が全社ベースでソフトウエアを切り替えるのには、時間がかかる。多分それは、PDF FILE を読むためのソフトである acrobat reader でも同じ事なんでしょう。しばらくは 3.0j の acrobat で 製作しますが、その後は 4.0j に切り替えますから、なるべく準備方宜しく。

 acrobat reader 4.0j はここからダウンロードできます。4.0j の reader は、3.0j が作ったファイルは開けます。そういえば、7月の初めには「Office 2000」が出る。また各ソフトウエアについてファイル形式が一つ増える。あちこちで面倒なことが起きそうですな。旧バージョンでセーブしようとすると、「一部の機能が失われますが、本当にそれで良いですか.....」といちいち聞いてくる。あれが嫌いなんですよ。<^!^>


99年06月21日(月曜日)

 日曜日にアドビの新しいアクロバットを買ったので、今日のnews and analysisから使いだしたんですわ。手順としては、今までの「3.0J」と何も変わらない。で、新しい機能も一応頭に入れていたつもりだった。しかし、何がどう進化したのかまだとんと分からないのです。結構高かったんですよ。このソフトは。

 アドビが便利なことは分かっているんです。ブラウザーの画面もアドビのファイルを作っておくとそのまま残る。カウンター付きのURLだったら、何番目にアクセスしたかの証拠になるし、インターネットをオンラインに出来ない場合のネット利用講演などに非常に有用。バックアップとしてpdfファイルを残しておく価値は大きい。今回の「4.0J」はもっと凄くなっていると聞いたので買ったのですが、まだどうも全貌が掴めない。困ったものです........。
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 今日は知り合いの学生が、「就職成功」ということで祝賀会。ははは、二つも決まってしまって、一つを断ったらしいのです。そしたら向こうが、「まあいいから、一回来なさいよ....」と。しかし危ないらしいですね。本当に行くと、ラーメンをかけられたり、ひどい場合はカレーをひっくり返されたり。この厳しい戦線の中で採用したのに、逃げられる.....。企業の採用担当者も大変でしょう。

 今の就職戦線が厳しいことは十分承知しています。しかし、企業の内部でも雇用のミスマッチが発生していて「一番足りないのはSE、一番余っているのはSE」(ほかの多くの職種に当てはまる)のような状況になっている中で、学生にも同じ事が起きているのではないかと思う。つまり、決まる学生はいくつも決まる。決まらない学生は、どこに行っても採用されない.....。

 今の時代、企業は優秀な人材は喉から手が出るほど欲しいに違いない。なぜなら、競争が厳しいからで、員数だけ合わせれば良いというものでもない。固定費の増大は避けたい。自然と「少数精鋭」になる筈です。「就職難だから、いい学生が採れるだろう」と採用レベルを上げたら全然採用が進まなかった会社の話がどこかに載っていた。本当に優秀な学生は、就職先を選んでいるとも思える。

 多分こういうことは、全世代に言える。ということはつまり、日本という国全体が非常に大きなミスマッチの中にいるということです。この構造的な、大きなミスマッチを解消しない限り、多少景気が良くなっても日本の雇用問題は解決に向かわないとも思える。アメリカの失業率が92〜93年の7%を上回る水準から現在の4%割れも可能なレベルに落ちてきたのは、企業も、そして職を探す人たちも「ミスマッチ解消」に尽力したのでしょう。

 ミスマッチは、企業が欲するスキルを持つ従業員の数と、それを提供できる従業員の数とのミスマッチから始まって、いろいろあるに違いない。このいろいろなレベルでのミスマッチを解消できる環境を整えてやることが政府の大きな役割にもなっているし、サミットの宣言もその旨をうたいこんだ。


99年06月19〜20日(土〜日曜日)

 土日なのにちょっと堅いお話。木曜日のグリーンスパンの議会証言は、最近になくおもしろかった。金曜日の午後に読みふけってしまった。6月14日の news and analysisで予測した通り、今月末の FOMC では利上げを行い、その幅は0.25%にとどめる意向を表明している(詳細の分析はこれから書く6月21日分でお読みください)のですが、私が一番興味を持って読んだのは以下の部分です。ちょっと長いのですが引用します。  

One of the important issues for the FOMC as it has made such judgments in recent years has been the weight to place on asset prices. As I have already noted, history suggests that owing to the growing optimism that may develop with extended periods of economic expansion, asset price values can climb to unsustainable levels even if product prices are relatively stable.

The 1990s have witnessed one of the great bull stock markets in American history. Whether that means an unstable bubble has developed in its wake is difficult to assess. A large number of analysts have judged the level of equity prices to be excessive, even taking into account the rise in "fair value" resulting from the acceleration of productivity and the associated long-term corporate earnings outlook.

But bubbles generally are perceptible only after the fact. To spot a bubble in advance requires a judgment that hundreds of thousands of informed investors have it all wrong. Betting against markets is usually precarious at best.

While bubbles that burst are scarcely benign, the consequences need not be catastrophic for the economy.

The bursting of the Japanese bubble a decade ago did not lead immediately to sharp contractions in output or a significant rise in unemployment. Arguably, it was the subsequent failure to address the damage to the financial system in a timely manner that caused Japan's current economic problems. Likewise, while the stock market crash of 1929 was destabilizing, most analysts attribute the Great Depression to ensuing failures of policy. And certainly the crash of October 1987 left little lasting imprint on the American economy.

This all leads to the conclusion that monetary policy is best primarily focused on stability of the general level of prices of goods and services as the most credible means to achieve sustainable economic growth. Should volatile asset prices cause problems, policy is probably best positioned to address the consequences when the economy is working from a base of stable product prices.

   この部分がしっかり読めていたなら、日本の新聞からグリーンスパン証言に関する株価の部分の多くの「見出し」が消えていたはずだ。金曜日の日本の朝刊には、「その後も株価が上がったらFRBは利上げに」という見出しがあったが、グリーンスパンはそんなことは言っていない。今回初めて、株価(広く資産価格)と金融政策をかなり明確に分離したのである。さらに、バブルが起きてそれが破裂したならそれでもいいんだ...問題はその後の政策なんだ...と言っている。そういう考え方が正しいかどうかは別にして、彼はそう言っているのです。

 日本の金曜朝刊の締め切りは米東部時間では木曜日の昼過ぎ。グリーンスパンの議会証言は木曜日の午前中でしたから、記事を書くのに時間がなかったのは確か。しかし、印刷しても A4 で3枚にもならない今回のグリーンスパン証言には全文に是非目を通して欲しかったと思う。日本時間の金曜日の午後になって出た日本のアナリストの文章の中にも、「全文を読んだんかいな...」と思われる分析がいくつもあった。ここでグリーンスパンが言っているのは次のようなことです。多少はしょって意訳すると

  1. FOMCが政策決定においてここ数年に直面した重要な問題の一つは、資産価格に置くウェートであった。既に述べたように、経済成長が持続的に続くとの楽観的な見方が強まる中では、一般物価が安定していても資産価格が持続不可能なレベルに上昇することはあり得る。90年代のアメリカの株価は、その歴史の中でもいくつもないブル・マーケットである。多くのアナリストは生産性の伸びやそれに関連した企業業績の長期見通し改善から生じている「fair value」の上昇を考慮しても、現在の株価は上げすぎだと判断している
  2. しかし、「バブル」は総じて、事後的にしか認知できない。事前に「バブル」を検知すると言うことは、豊かな情報を持つ多くの投資家の考え方がすべて間違っているという判断を下すことで、いずれにせよ難しい
  3. バブルの破裂が心地の良いものでないことは確かだが、その打撃が経済にとって壊滅的だとは限らない。10年前の日本のバブル崩壊は、直ちに生産の著しい縮小や失業の急激な上昇を招来しはしなかった。これは議論の余地ありだが、現在の日本の経済問題を引き起こしたのは、その後の失敗であり、それは日本の金融システムが被った打撃にタイムリーに対処出来なかったことである。同様に、1929年の株価暴落もアメリカ経済を不安定にしたものの、いわゆる「大恐慌」はその後の政策の失敗によるとの見方が一般的である。対して、1987年のブラック・マンデーの株価暴落は、アメリカ経済に対して持続的な打撃を与えはしなかった
  4. よって、持続的な経済成長を達成するためのもっとも確かな方法としては、金融政策はモノとサービスの一般的な価格レベルの安定に専心するのが最良だというのが私の結論である。もし資産価格の動揺が経問題を引き起こした場合でも、経済が一般物価の安定の中にあれば、資産価格の動揺から生じた経済問題にもっとも適切に対応できる
 あえて考えれば、この姿勢は「次回の利上げは、株価つぶしをねらったものではない」と議会に信号を送っているとも考えられる。株価と金融政策の引き離しをすることによって。今までのグリーンスパンは、株価のレベルと金融政策をどこかでリンクさせていた。議会はそれを問題としてきたのです。「FRBに株価のレベルを決める権限を与えたつもりはない」と。

 常識的に考えても、グリーンスパンが依然として株価のレベルを懸念をもって見ていることには変わりはないと思う。しかし、「バブルとその破裂そのものが経済にとって壊滅的なわけではない。問題はその後の政策なんだ.....」と言い切ることによって、次回の利上げの狙いを「一般物価の上昇を控えめながら、予防的に防ぐ」ことに集中させた。もうこれで議会は文句は言えません。議会はFRBに対してその権限は与えている。

 これ以上は news and analysis の世界の話ですからあまり長く書きませんが、「市場の声を重視し、それを揺籃しよう」という基本的な考え方のなんと強いことか。多分グリーンスパン本人も、今のアメリカの株価はバブルチックだと考えている。しかし、それが市場の声ならしかたがないじゃないか....という姿勢。だからこそ、「破裂するかもしれないが、問題はその後の政策対応だ」と自分でベルトを締め直しているのです。この姿勢には批判もあるかもしれない。バブルだと分かっているなら、なぜ早めに手を打たないのだ....と。おそらく彼は、0.25%の利上げなら逆に米金融市場が安定し、株価も上がる可能性が高いことを知っている。で事実、木曜日のグリーンスパン証言の後には、債券相場は上がり、株価も一時急騰した。「それでもいいんだ」と彼は腹をくくっているのである。「成功のジレンマ」への、彼なりきの回答です。

 多分、FRBや財務省の中ではアメリカの株価が20%といわれるコレクション・フェーズを超えて「破裂」に近い状態になったときの contingency plan (緊急対応策)が出来ているのでしょ。だから、「その後の政策が重要」と言い切れる。10年前の日本に加えて、自国の1929年を例示しているのは、彼の優しさでしょうか(^_^)(^_^)。1987年はちょっと自慢しているように見える。

 いずれにせよ、ドル・円がちょっと120円を割っただけで「おまえが間違っている」とばかりに市場に容喙するどこかの国とえらく違いますね。冗談ではなく、「市場をハーネス(揺籃)する気持ちがあるかないか」が、日本とアメリカの経済力格差の大きな原因になっている、と私は思う。「市場はかならず間違う」ことを前提にしながら、しかし事前に市場に容喙できる知恵は(特に政府には)ないのだから、市場が間違ったときの対応を考えるのが当局の仕事だと考えるアメリカと、「市場は必ず間違う。よって事前に容喙すべきだ」と考える日本流。これは日本政府だけの問題ではない。どこかで国民の体質のようなものだ。国民もマスコミも、何かあると「政府は何をしている...」となる。日本の行政が警戒的になるのもやむを得ない面もある。しかし、その点を考慮に入れても日本は明らかに「行政の市場への容喙」が過ぎると思う。市場は曲がり、時には死んでしまう。

 政府や人知は事前に「市場や経済を予測し、理解できる」でしょうか。翻訳はしませんが、グリーンスパンは今回の議会証言の頭で次のように述べている。私は、本当にこの通りだと思う。経験知は、動揺しているのである。「certain verities remain」(いくつかの真理は残っている)にしてもだ。

As emphasized by the important hearings this committee has held in the past few days, an impressive proliferation of new technologies is inducing major shifts in the underlying structure of the American economy. These fundamental changes appear to be far from complete. The way America does business, including the interaction among the various economic players in our economy, is in the midst of a significant transformation, though the pace of change is unclear.

As a consequence, many of the empirical regularities depicting the complex of economic relationships on which policymakers rely have been markedly altered. The Federal Reserve has thus been pressed to continuously update our understanding of how the newer forces are developing in order for us to address appropriately our underlying monetary policy objective: maximum sustainable economic growth.

 きっと最後は「好奇心」なんですよ。個人や国民全体の。これがあるかないか。あれば、「新しい技術は、経済をどう変えていくのだろう...」という気持ちになる。「empirical regularities」も変わったことも認知できる。


99年06月18日(金曜日)

 のっけから、いくつかの刺激的な単語、言葉の紹介でいきましょう。

 空虚な時間の堆積
 君臨すれど統治せず
 ひややかな独裁者
 (金丸)ごとき
 (海部)なんか
 俺は辞める

 まだまだありますが、何かって。金曜日の森本毅郎スタンバイは石原・東京都知事に森本さんがインタビューした木曜日の午後の録音を「現場にアタック」「World Today」の両コーナーに渡って流したのですが、これがめちゃ面白かった。最初の「空虚の時間」云々の話は、ご丁寧に石原さんの口から最初に2回も出てきました。役所の仕事は「形式的で」、その代表が「稟議書」だ。俺は何時間でも議論する気持ちがあるのに、どうも空回りしている.......それは自分にとって「空虚な時間」で、それが堆積している....という意味で出てきた。まあ、そうでしょうね。「太陽の季節」もそうだが、石原さんのモチーフは一種枠はずれ、枠はずしにある。役所の仕事は、あらゆるものを綺麗に枠にはめることにある。都庁の幹部と「どなり」が出るほど衝突することは多々あるでしょう。

 「君臨すれど統治せず」は、青島前知事に対する言葉として出てきた。要するに、実際には何もしなかったと批判しているわけです。「ひややかな独裁者」はその前の鈴木さんに対して。「ごとき」「なんか」は文字通り、名前の方々に対して使っている。「俺は辞める」は、仮に首都機能が東京を離れたら....の話。自分が東京都知事でいる間は、東京から首都機能を剥奪するのは認めないという意味合いです。石原さんは、「キャンベラにしろ、ブラジリアにしろ歴史を背負った都市から首都を移して成功したことがあるのか」「400年の歴史に対する冒涜だ....」と。
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 もちろん、言葉だけが面白かっただけではない。横田基地の問題に関しては、都政を担当するに当たって何が一番難しいといって「あったものを変えるのが難しい」と。つまり、石原さんが知事になったときに、既に制度として、システムとしてあったもの、場所を見つけて落ち着いてしまっているものを変えるのが難しいと言っているのです。基地もそう。しかし、ある意味で「枠壊し」を期待されて知事になった石原さんにしてみれば、これに挑戦し続けなければならないでしょう。

 ちょっと表面的に弱気の発言かなと思ったのは、中国と台湾に関して。台湾には「(用もないので)行かない」と言いながら、シンガポールに出張する予定があってその帰りに寄ってきてもいいとは思っている...と含みを持たせた発言をしたのですが、「(石原さんが動くことで)台湾、中国の関係が変わるかもしれませんね....」と森本さんがたたみかけたのに対して、「そんなことで(中国は)変わるわけないじゃないか...」と語ったとき。まあ、私も北京の天安門に立ったときに「この国にモノを言うのは容易じゃない」と思ったので気持ちは分かるのですが、台湾と中国の問題についてあそこまで発言しているのですから、「動かしてやれ」という気持ちがあってもと思ったのですが、本心は別にあるのかもしれない。石原知事が台湾をどういうステータスにせよ訪問したら、それはニュースです。

 石原さんが知事に出るときに、「俺は今日本の歴史に残る小説を書いているんだ」と言っていたのを思い出す私ですが、知事になったからには見事な、そして刺激的な言葉を実績に変える必要があるわけです。そのための布石はして、副知事二人は現役の官僚群から選んだ。オープンで、アウトスポークンなところは、今までの知事のスケールを出ている。ぜひ、それに見合った成果を期待したいところですが、実はこのインタビュー、月曜日にも続きがあるそうです。森本さんの聞き方がうまいんでしょうが、なかなかの「言いたい放題」発言が飛び出してきている。ご興味のある方は、来週月曜日の午前7時台の「毅郎スタンバイ」をご注目。


99年06月17日(木曜日)

 再び「鯛」について。石井さんが、「鯛そのご」ということでメールを送ってくれましたので、それを紹介しましょう。「鯛」はこの6月12〜13日の分にアップしたそれです。一尾の鯛にも、地域や漁業のちゃんとした歴史が込められている.....のです。

 尾道@いしいです。お送りした鯛ですが どの様にして伊藤さまのお口に入ったのかその経緯を少しお話を致します。

 尾道の漁業史を振り返るとかつては瀬戸内海を代表する規模で漁師の数は 明治から大正時代 6000千人を超え、その行動範囲は瀬戸内海はもちろん 遠く、日本海や太平洋まで出かけていたそうで、5月5日に「筑紫哲哉のニュース23」で放送された「尾道物語」という話はまさに その漁師と、子どもたちの物語でした。

 漁師たちは丘に家を持たず「船上生活」で、親から子、孫へと海で生きる術を伝えていったとされ、義務教育制度が施行され漁師の子どもたちは寮生活を始めた漁業を学ぶには 6歳から15歳までが一番大切とされちょうどその期間義務教育と重なる。

 「先生は学校で生きる術を教えると言うが ワシらの生きる術というのは潮来一枚下は地獄と言う海で 生きる術はワシらが教えなゃぁ先生が教えられるンか ?」

 時代は過ぎ、今や漁師の数は1200人を割り、後継者はその中でも2〜3人。

 伊藤さんの鯛は、お送りする前日昼間に山口県の柳井沖で捕獲され生け簀に入れられたまま 尾道魚市場に水揚げ魚市場若旦那の特権で 「これは私の物」と、競りにはかけずに私物として若旦那自ら締めて箱詰めにして送ってあります。

 梅雨空になり、雨が降り始めると鯛のシーズンも終わりです。

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 6000人いた漁師が1200人になった、後継者は2〜3人。寂しい限りですね。今に、鯛なども日本は全部輸入することになるのかもしれない。それはちょっとという感じ。しかし、後継者が出ないのは、基本的に不安定で儲からない.....それに、危険だとかいろいろ理由があるのだと思います。「漁師は6才から15才が一番大切」というのは、そうですか。

 尾道はやたら寺が多い。成功すると、皆争うように寺を建立したのだそうです。それが、成功した証であるとばかりに。昔は漁業で儲けた人が一杯いたのでしょう。で、自分が生きた証明に寺を建てた。凄腕の、そして運に恵まれた漁師も居たわけです。むろん、他の事業で成功した人もいた。今でも尾道には、船を運航して収益を上げている会社がいくつもある。尾道は、海とともに歩んできた街ということでしょうか。また行きたいですな。名物のバーがありました。


99年06月16日(水曜日)

 今時間さえあれば一冊の小説を読んでいるのですが、これが非常におもしろい。山崎豊子著の「沈まぬ太陽」。平成7年から5年間に渡って週刊新潮に連載され、今年の5月に連載終了となったもの。全5冊の大部。そのうち、1(アフリカ篇・上)と2(アフリカ篇・下)、それに3(御巣鷹山篇)が仮綴じ本としてできあがっていて、それを読ませてもらっているもの。1と2は、正式には6月24日に本屋さんに並ぶようです。3は7月29日、4(会長室篇・上)、5(会長室篇・下)は、8月、9月になっての刊行。

 今まで読むところ、この小説は国民航空(モデルは JAL です)に勤める社員の会社員(恩地)生活、つまり優秀な人材として入社し将来を嘱望されていながら1年間という約束で組合の委員長をやったことから人生を狂わせた(それが良かったかどうかは別問題ですが)人間の目を通して、会社と一人の人間、家族と生き方、航空機事故とそれにあった人々とそれに係わる問題などを社会派作家ならではの鋭い目で描いたもの。1と2は「なんだ、企業小説か....」、まあこんなものかなと思いながら読んだのですが、3の「御巣鷹山篇」は圧倒的な迫力をもって読む人に訴える。

 小説全体に流れている思想は、「徹底した調査小説」という考え方だと思います。特に「御巣鷹山篇」はそうで、この事故は1985年に起きた。旧お盆の直前だったと思います。520人がなくなった世界の航空機事故では最大のもので、数日前にインターネットに関連サイトがあるかとサーチしたら、これとか、これが出てきた。今でも関心が高いのです。日本航空の乗員組合のサイトにも、関連項目がありました。

 「構想8年」と書いてありますが、実際には「調査 年」ということを宣伝にした方が良いのではないかと思うような圧倒的な調査の上で書かれている。それを構成力、文章力で読ませ、数多くの問題提起をしている。組織と人間、組織の中での人間のあり方、一つの方向を選んだ社員とその家族の関係、事故によって破壊された家族、その家族の構成員の人間模様......。2冊の「会長室篇」がクライマックスだそうですから、楽しみはまだ先ということです。

 実は私は「企業小説」というのは好きではない。大体が、企業小説は企業を江戸時代の「藩」のような存在として、つまり少なくとも精神的には抜け出せないものとして、その中での人間模様を描く。コップの中で争ったり、滑ったり転んだりしている連中の小説のように思える。だから、「落日燃ゆ」以外は城山三郎も好きではないのですが、この「沈まぬ太陽」は、最初は「企業小説」のように始まるのですが、やはり山崎豊子さんですね徐々に読むに値する「社会派小説」になっている。

 是非機会があったらお読みになると良いと思います。


99年06月15日(火曜日)

 予想通りですが、グリーンスパンの「経済に及ぼすテクノロジーの役割について」に関しての議会証言は、従来の内容から大きくは出ないもので、あまり面白くなかった。まあ、彼のことですから二つの面白い単語を使っている。一つは、「programmed redundancies」。なかなかうまいことを言う。それはそうだ。情報が瞬時瞬時には集まらないのだから、在庫にしろ今までの経済は「計算された余剰」を維持していた。

 テクノロジー、特に IT の進展によって一定の正確性を持って必要な資材、流通在庫の数が読めるようになったし、納期も著しく短縮された。そもそも BTO (built to order)も可能になった。「redundancies」がそぎ落ちてくる経済が世界的に進んでいると言える。万が一のためにあった「おなかの贅肉」はいらないということだ。

 もう一つ目をむいた単語は、「ubiquitousness」。なんじゃこりゃ。知りませんよ。辞書を調べたら、「(同時に)至る所にある」と解説してある。グリーンスパンの使い方は「The increasing ubiquitousness of Internet web sites」。なるほど。まあ言ってみれば普及増大。彼はおもろい。わざわざこういう単語を使うところが。

 アメリカのマスコミの見出しに出てきているのは、「The rate of growth of productivity cannot increase indefinitely」以下。まあそうでしょうね。慢心を諫めるのが議長の仕事だし、確かに米経済に対するテクノロジーの進歩の好影響が「indefinitely」でないことは確か。まだ国境もあるし、労働力が完全に liquid になったわけではない。
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 The Explore Worm はなかなかしぶといようですね。夕方読んだニューヨーク・タイムスにはこういう記事があって、ワームがイントラネットに入ってしぶとく生き延びていると報道されている。徐々に悪質になりますね。

 ところでサーフィンしていて、面白いサイトを見つけました。日本で一番古いネットサイトを紹介しているページ1992年9月30日だそうです。知らなかった。中を読むとちょっと面白い。当時世界にあったサーバーの位置などが分かる。限られた数です。それからまだ7年経っていない。やはり、インターネットは最初は科学者のツールだってんですな。「あらゆる技術は、それを作った人の意図とは全く違った形で発展する」と言ったのは誰だったか忘れましたが、私の予想ではネットは今後音と映像の媒介ツールとしての重要性を増すと思う。今のネットの能力ではまだ無理ですが、同時に送れるデータ量が増えれば必ずこの方向に行く。今の文字データ中心は過渡期の姿だと思います。


99年06月14日(月曜日)

(書いたと思うのですが、ファイルをlost しました。うろ覚えでは、

  1. 経済企画庁がGDPの発表方式を午後3時30分から午前8時30分に変えたこと。しかし、ほぼ同時刻に与党幹部への連絡は続けるとしたこと
  2. これは議会制民主主義の下では当然の事であると堺屋長官が述べたこと
  3. しかし、日本の統計は世界中の人が見ているのだから、それは「すべての投資家の前では公平」の原則に反するのではないか...との私の意見を記述したこと
  4. それに関連して、選挙と選挙の間が空いているので、議会制民主主義にもある程度直接選挙の要素を入れた方が良いのでは
というようなことを書いたと思います。)


99年06月12〜13日(土〜日曜日)

 ハッカーの攻撃を受けた毎日新聞のサイトは、この週末随分長くダウンしてましたね。「メンテナンスのお知らせとお詫び」という形で。「近日中には再開できるものと....」というメッセージがずっとあった。日本のサイトがあからさまにハッカーの攻撃を受けたという意味では、初めてのケースでは。
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 ところで、「クール宅急便、 \(~o~)/」、「真鯛君、 \(~o~)/」、「石井さん、松下さん、>^_^<(感謝)」と言いたくなる週末でした。金曜日の午前に尾道を出たこの真鯛が我が家に着いたのは土曜日の午後3時55分。a wonderful gift from Onomichi予想していた時間ピッタリです。道路の混み具合などいろいろ条件があると思うのに、ほぼ時間通り。開けたいのを我慢して、直ちに早稲田の松下さん(よく伺うお店です)に。

 開けて取り出した時の写真が掲載写真です。2.3キロ。重い。ずしりと来ました。箱も大きかったので、松下さんまではタクシーで行ったのですが、たまたまその時の運転手が「それは何か魚ですか...」と話しかけてきた。山口の漁師さんだったそうで、「いや、こういう訳で....鯛なんですよ...」と言ったら、話が盛り上がっちゃいました。彼曰く、「鯛は、2.0キロから2.5キロのものが一番美味しい」のだそうです。。

 刺身を作っていただき、兜煮を作り、そして骨に肉を付けて焼いたりして鯛づくし。送ってくださった石井さん、ありがとう御座いました。石井さんは、尾道で給食、プロバイダーなど手広く事業をしている方です。講演に尾道にお伺いして以来のおつき合い。おめで鯛、感謝し鯛週末を、many many tks。

 考えましたね。尾道からすばらしいものが到着する。私でも我が家の誰でも、「さばき」は出来ない。近所の寿司屋じゃ、物足りない。どうしようと。「そうだ、松下さんに....」とすぐ思いました。早稲田にある、私が大好きな日本食の店です。ご主人は、「厨房ですよ」でしたっけ、いろいろな料理番組に出ていらっしゃる。土曜日はプレジデントの岡本君も一緒だったのですが、彼も感激していました。なにを食べても、最高。今東京で一番楽しめる日本食だと私は思う。料理一つ一つにアイデアと、腕と、そして味覚が詰まっているのです。

 松下さん(03-3202-4404)は、今度店を移られる。歩いて直ぐのところです。で、新たに従業員の方を一人入れられた。22才の女性です。「きびきび」という感じ。まあ、あそこは全員きびきびと仕事をしている。今回無理なお願いをしたのに、気持ちよく引き受けてくださった。もう感謝、感謝の一日でした。


 12日朝見たニューヨーク・タイムスに掲載されていた computer worm (コンピューターの虫、worm は一般的にウイルス=virus より悪質)に関する情報です。ただし、メリッサの経験が生きて、広がりはそれほどでもないようです。しかし、みなさんご注意を。ここに関連情報があります。ニューヨーク・タイムスの記事はここにあります。

 つけられた名称は「The Explore Worm」。マイクロソフトのメーラー(Outlook, Outlook Express, Exchange)の添付ファイルを通じて伝搬し、マイクロソフトのオフィス群に入るアプリケーション・ソフトウエア(Word,Excel,Power Point など)のドキュメントを破壊する。メリッサよりは伝搬力は弱いが、より悪質であり、ウイルスというよりは worm という範疇に分類される悪質ソフト。従って、メールをネットスケープでやっている人は一安心。

 月曜日にイスラエルで発見され、水曜日までにアメリカ、ヨーロッパで被害の報告がある。ボーイング、ATT、GE などの米大企業で感染報告があり、一部の企業では電子メールシステムを閉鎖したり、昼休みの全館放送で従業員に感染に関して警告を発したという。現象としては、自分が送ったメールに対する返信(送った先のコンピューターが感染していることになる)として

 : "I received your E-mail and I shall send you a reply ASAP. Till then, take a look at the attached zipped docs. Bye."
 というメッセージで入ってくる(ASAP=as soon as possible)。自分がメールを送った知り合いからの返答だから、つい添付ファイルを開けてしまう。その添付ファイルは「zipfiles.exe」として来て、解凍すると「explore.exe」となってコンピューターが起動するたびに worm として活動。

 「活動」は二つあって、メールをよこした人に zipfile を送り届けることと、当該コンピューターの中にあるマイクロソフトのアプリケーション・ソフトでできているファイル(ドキュメント、たとえば住所録とかワードの文章など)を破壊する。メリッサがメーラーの住所録の最初の50人に自動的に汚染メールを送出していたのと比べると感染力は弱い。しかし、メリッサはそれだけでコンピューター内部のファイルを破壊はしなかったが、今回のはそれをするという意味ではるかに破壊的。

 virus と worm の区別は

 The new program is known as a worm rather than a virus because it is self-propagating from computer to computer through networks, in this case by generating a reply to each incoming E-mail.

 In contrast a virus is spread by inserting itself into files on a computer system that are then passed along. (The Melissa program exhibited properties of both a virus and a worm, computer researchers said, because it both attached itself to Word documents and used E-mail to spread itself.)

 The term "worm" was coined by the science fiction author John Brunner in his 1975 novel "Shockwave Rider." In the novel worms were programs created by a rebel group that helped destroy an oppressive computer network.

 ウイルスは「自己伝染機能,潜伏機能,発病機能のいずれか一つ以上を持つプログラム」と定義されますが、worm は「自己繁殖」が特徴。virus=伝染、worm=自己繁殖と覚えておくのが良いかもしれない。

 いずれにせよ、マイクロソフトのMAPIプロトコルを使ったメーラーを使っている人は、「たとえ知り合いからのメールであっても、特に前掲したメーセージが付いているような添付ファイルは絶対開けない」ということが必要なようです。ウイルス対策各社は対応ソフトをダウンロードできるようにしているようで、「ウイルス定義」を更新しておく必要がありそうです。ただし検出が難しいソフトと分類されているという。

 virus から worm に。伝搬力と自己増殖力、そして破壊力が増した悪質ソフトが流布しだしたのは警戒信号です。



99年06月11日(金曜日)

 11日付けの日経経済教室に、小生のfriends のコーナーに寄稿している永田 貴洋君の、池尾・慶応大学教授との共同論文が掲載されている。『「進化」の流れ 日本が作れ』という内容で、BISなど当局が課す規制に対する銀行の反応を

  1. reactive action(規制を受け入れる行動)
  2. counter-active action(規制に対応した行動)
  3. pre-emptive action(規制の内容に積極的に関与する行動)
 と3分類をした上で、「(BIS規制などはアメリカの陰謀などと)不満を言う前に、金融システムの健全性・安定性確保につながり、自らの競争上の優位性も得られるような規制の枠組みのあり方を提案していく必要性」を強調している。

 BIS規制のみならず、日本では何かあると「アメリカの陰謀」で片づける一群の人々がいる。もっと言えば、世の中の現象はすべてユダヤ人の陰謀であると決めつける類の人々もいる。こうした主張の人々の論拠を聞くに値しないと思うのは、もし仮にそうだとしても「だから日本は何をすべきか」という主張がしばしば欠けていることで、BIS規制批判にもこれはある程度相通じる。BISの規制が日本の銀行にその時に不利だったとして、では日本の銀行はどうすべきだったのか。彼らの意見が妥当性をもち、しかも論理的整合性がなかったとしたなら、日本の銀行が結局のところは大挙してBIS規制の下に入ることはなかったはずだ。

 私が理解するところ、日本の監督当局や銀行自体に世界的に通用する信用リスク規制の枠組みを作る能力はなかったのではないか。なかったからこそ、できあがりつつあるものにそれほど意見を言えなかったし、結局のところは皆受け入れたのである。受け入れた後で、「これは陰謀だった」という。池尾・永田論文は、「規制を与えられたものとして受容していればよい時代は、既に過去のものとなっている。しかし、こうした点についての認識は、残念ながら日本ではいまだ乏しい」としながらも、今後は日本の当局や銀行が新たな国際的な規制の枠組みに対して pre-emptive な行動に出ることを強く要請している。

 当然だと思う。しかしそれが出来るには、前提があった。日本の銀行業界の扱っている金融商品、サービス、リスク管理システム、それに関する哲学などが世界標準の少なくとも一番手グループを走っていなければならないということだ。多分、規制で身動きできなかった面がある日本の金融業界は当時この点で自信がなかった。で、前回のBIS規制では発言権を確保できなかったのではないか....と。

 しかしこの論文が主張するように、今後はこうした姿勢は好ましくないばかりでなく、姿勢維持はある種自殺行為だと思う。当局と民間機関が持っている情報の非対称性(当局が銀行を把握しきれない度合い)が高い中では、規制に対してモノを言わないということは、的はずれな、時代遅れな規制に身をさらすと言うことであるからだ。BIS規制にしろ、本来あらゆる規制は「自らの健全性を保持するためには、どのような自己規制が必要なのか」という発想から出てこなければならない。この思いの国際的な最大公約数がBISなどの国際的取り決めと成るべきものだ。論文の主旨には大賛成である。
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 ところで、この論文のフルバージョン(ワードのA4で39ページ)を永田君の要請によりfriendsのコーナーここにアップしました。PDFですので、acrobat reader でお読み下さい。今のreader は「4.0j」が主流です。

 蛇足ですが、「public comment」は「市中協議」と訳すのですか。初めて見たな。「パブリック・コメント」はそのままの方が通用すると思うのですが。


99年06月10日(木曜日)

 ウェルカム・バックという感じですね。昼飯は久保田さんと。為替の世界にいた人ならご存じでしょう。商社為替の草分け的存在。外銀に行かれた後、一度は伊豆に引退された。しかし、今年の春からまた週に4日東京に出てきて、以前いらっした商社の関係の仕事をしてらっしゃる。

 久保田さんのオフィスが、私が大好きな新日本橋の「大江戸」の近くなのです。で、今日はあそこまで久しぶりに行きました。日本橋から歩いたら、ちょっとありましたね。「新日本橋」というんで近いと思ったら結構あった。アーバンネットにオフィスがある時は、実はよく気候が良いと「大江戸」まで歩いたものですが、最近はとんとご無沙汰していた。相変わらずの味ですが、青山ではウナギを食べることはあまりない。実は「大江戸」は青山にもあるんですが、ちょっと私のオフィスからは遠い。
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 円高が進んでいる。今週月曜日に共同通信に頼まれて書いた為替予想(ご覧になった方も多いでしょうが)で

 日本の景況がしっかりしてくる過程では円の上昇余地は広がる。当面は120円前後の動きだろうが、徐々に110円台の後半に向かって相場レンジが動くと見たい。
 と書いたが、早くも117円台の後半を記録。ちょっと足が速かった。この足の速さと、当局の判断するところの「premature」であることから、どうも当局は介入したようだ。しかし、この基調としての円高は今後も変わらないでしょう。

 今年1−3月の日本のGDPが1.9%の上昇になったことは、ちょっと予想外。円高急進展の背景。一つは発射台が低かったこと。もう一つは、やはり公共事業が効いている。言ってみれば、実力ではない成長率。肝心なのは、「変化の促進」で手を抜かないことでしょう。財政が枯渇し、企業も正念場に置かれているので、「手抜き」は出来ない状況ですが。プラスの数字の陰に隠れていても、98年度全体では前年度比2.0%マイナスとなった。戦後混乱期を除くと2年連続のマイナス成長は初めて。減少幅も第1次石油危機時の74年度のマイナス0.5%を超えて過去最悪。やらなきゃいけないことは、いっぱいある。


99年06月09日(水曜日)

 多くの方から「3周年」のコングラ・メールTKS。いつ「やめー....」となるか分かりませんが、まあ続いている間はいろいろ言ってきて下さい。こちらも楽しみにしてますから。こんなのを送ってきてくれた人がいましたよ。ははは、秀作ではないが一瞬笑える。

 こんにちは! 「神童」に関する小話です。

Q:神童と呼ばれた人たちの名前の一覧表があって、珍重されているそうな。
その名簿には名前がついているそうですが、何という名前でしょう? 

A:神童ら のリスト

(ユダヤ系の人も多いということで、そこそこ奥深い?)

 自分で「奥深い....」というのも、なかなか度胸がありますね。野村さんという方から頂きました。ついでに、もう一つ。YOSHIZAKI さんから。「新作」だそうです。確かに、他の場所では見ていない。
最近の政治情勢をネタにした新作です。「おたく過ぎる」という批評もありますが、ご笑覧ください。
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 ある夜、小渕首相の夢枕に神様が降り立って、言った。

 「小渕よ、お前の働きはなかなか殊勝である。わしはお前を見直した。よって3つの 願いをかなえてやろう」

 小渕は喜んでこう言った。

 「はい、それでは次の3つをお願いします。

  1. まず、景気の先行きが悪そうなので、なるべく早く解散・総選挙をやりたいのです
  2. 次に、自民党総裁選挙は無投票で再選されたいと思います
  3. 最後に、自自公の枠組みが壊れないで、このまま行きますようにお願いします」
 「待て、小渕よ。こういうときは普通、日本経済の回復とか、コソボ問題の解決とか を望むものではないのか。考え直した方が良くはないか?」と、神様。

 「いえいえ、わたしは器が小さくて、目の前のことで精一杯です。ぜひとも、先ほど の3つの願いをかなえてください」

 「それほど言うなら、あい分かったぞ、かなえてやろう」と、神様は言って、消えた。

 さて、その後間もなく、通常国会の会期切れ直前、加藤派は大挙して脱党し、民主党 とともに内閣不信任案を提出した。「小渕政権は供給サイド改革を実施できない」と の大合唱の下、不信任案は賛成多数で可決。解散・総選挙に突入した。

 7月に行われた選挙で自民党は大敗し、領袖クラスも軒並み総討死に。自民党は8月 に総裁選を実施しても、対抗馬もでない始末。首班指名選挙では加藤首相、菅副首相 の連立安定内閣が誕生。自自公はさびしく肩を寄せ合い、野党として生き残りを図る のであった。

 最近は民主党は「日本共産党と組む.....」という説もあるそうですが....


99年06月08日(火曜日)

 経済企画庁が景気の現状認識の総括判断を変えたのは、ちょっと驚きですね。「下げ止まりつつある」から、「下げ止まり、概ね横這いに推移している」と。まあ3ヶ月も同じ表現を使ってきたのだから、変えたかったんでしょう。どう違う、と問われれば受ける印象の差くらいしかないとしか答えられないのでは。だからマーケットも動かず。とにかく「底入れ」とか、上昇の言葉はどうにも入れようがなかったということでしょう。

 一つ私が気になったのは、「下げ止まり...」の前の文章です。「各種の政策効果に下支えられて....」とある。本当かなと思う。これまでの政府の経済政策は概ね「現状維持型」でむしろ景気の本当の意味での回復を阻害していた面もある。むろん、下支えしたものもあるが。しかし、下げ止まってきたのは政府だけの努力の結果ではない。民間も努力している。最後のところ経済の健全性をもたらすのは民間の経済活動そのものです。日本は依然として、「官が何かすれば大丈夫....」といった雰囲気がある。むろん、公的セクターは国の経済において大きな役割を果たしている。しかし、その影響力が特に認識レベルの問題でしょうが、大きくなりすぎているのは問題だ。

 月例経済報告は、面白い構成になっている。太文字になっていて線で上下を挟まれたところが「総括判断」と言われている部分なんでしょうが、その文章のかなりの部分は最初の「概観」と同じ。だったら、最初から「総括判断」を頭にもってくれば良いのに。
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 マイクロソフトの新しいオフィス製品である「Office 2000」は今週の月曜日からアメリカで発売になったようですが、来週発売になる Adobe Acrobat4.0j を含めてしばらくこれらのアプリケーション・ソフトウエアのキーワードは「round tripping」ということになりそうです。

 何かというと、今まではたとえばワードの文章を html に変換しても、pdf に変換しても、元のワードの文章に戻すことはできなかった。しかしこの両方を使っている私のような人間にはこれは非常に不便でした。たとえば、ワードの長い文章を html に転換する。それをブラウザに載せて見ているうちに間違いを発見する。その場合、今までは html とワード文章の二つを直す必要があった。

 「round tripping」が可能だということは、直した html をワード文書に戻せば文章が直っているということだと私は理解しています。もしこれが可能なら、非常に便利。pdf について言うと、今ではテキスト・スタイルに戻すことができただけ。それを元のワードの文章に戻せれば、今までのように「.doc」と「.pdf」の二つの文章を保存しておく必要はなくなる。軽い「.pdf」でどこかに保存しておけばワードの文章を呼び戻すことが可能です。私の場合は、news and analysisの文章は pdf でアップしていますが、今までは「.doc」も保存用のディスクに残していた。今後はこれが不必要になるかもしれない。

 ただしちょっと考えただけで、大丈夫かなという問題はある。ワードと html との「round tripping 」はもしかしたらマイクロソフト形式の html タグだけで可能かもしれない。私の場合は、この day by day のサイトを含めて基本的なタグを辞書登録して、それを使いながらエディターで html を作っていますから、マイクロソフトがワード文書を html に変換するタグシステムとは随分違う。その場合は、「round tripping」は可能かどうか。逆に html を作るのにワードの使用を義務つけられるようなら、それは面倒だ。

 むろん、もっと大きな頭痛の種になりそうなのは、ワードにしろエクセルにしろ個人は直ちに最新バージョンに移行するのですが、会社は遅い。今でもワード98を採用している会社は少ないだろう。とすると、たとえば個人で Office2000 を買ってそれで文章を作っても、それをメール添付などして各所で使う場合にはバージョン・ダウンして使わなければならいないという問題。また「.rtf」に活躍してもらうことになるかもしれない。まあ、どちらのソフトも出てからの楽しみというわけです。

 html で思い出しましたが、ホームページを作るためにタグを覚えて使い始めた時です。ですから、96年の春。「会社の書類を全部 html にしてハイパーリンクできるようにしたら、うまく行けば会社の生産性は劇的に上がる....」と思ったことを。今度のマイクロソフトの考え方は、アプリとウェブのマージ(統合)ですから、私が考えていたのと似ている。その Office2000 のキャッチフレーズは、「productivity」だという。まあいつでも最後はそうですが、使う人の全体的なレベルがどこまで上がるかですね。しかし、方向はやはりそちらでした。


99年06月07日(月曜日)

 忘れてましたが、昨日がこのサイト立ち上げの3周年でござんした。よう続いたものですね。いつまで続くかって。わかりません。私にとってもメリットがなくなって、かつ負担に感じたら、いつでもやめたりパターンを変えようと思っていますが、今のところそうは思わない。続けている理由の一つは、読んでおられる方との意見や、知識の交換ですかね。普段はあまり紹介しませんが(メールですから)、いろいろな方がメールをくれるのです。その中に知識が詰まっていて、「へえ、そうなんだ...」と思うことがいっぱいある。

 サマーズが29才でハーバードの教授になった「神童」だったと書けば、ひさださんが、

 「米国ではサマーズの後にも、続々と経済学の”神童”が続いているようです。まず一人は、N・グレゴリー・マンキュー。1958年生まれですので40 or 41歳。この人も29歳でハーバードの教授になりました。確か、マイクロソフトの裁判では、マイクロソフト側のアドバイザーかなにかをやっているようです。日本でも、彼が書いた経済の教科書は発売されています(1996年発行)。

 もう一人は Andrei Shleifer 。この人は結構面白い経歴の人です。なんと生まれ はロシアで、ティーンエージャーの頃に移民してきた人です。NYタイムズの記事 をお送りしますので別添ファイルをご参照下さい。」

 と教えてくれる。この二人のことは知りませんでした。台東区が高齢者人口で都内の区としては20%を超えている....と書けば、池崎さんが
 ご指摘のように台東区は高齢者の人口が多い地区です。区の政策として、以前は新婚者向けの家賃補助制度というものがありましたが、現在は廃止され、変わりに台東区有料物件(正確な名称はわかりません)としてマンションまたはアパートを台東区が一棟ごと借りて、安い家賃で賃貸する方式を取っております。

 家賃補助制度は、実際に友人が利用していました。収入と家賃により、補助額が決まり5年間支給されるようでした。台東区には、なかなかやすい物件が無く、またバブルのころには地価が上がり、固定資産税や、相続税も高くなり大変でした。結婚したりすると、狭い家に両親と同居することも、今の時代は難しく、みんな出ていってしまいます。相続税が払えなくて家を手放すこともあるでしょうし、上野駅の周辺では地上げがあったりして歯抜けのようになっている所があります。

 自分の生まれ育った所がなくなることは、とても悲しいです。故郷がないのですから。このような事から児童数も減り、私が通っていた中学も廃校になり、それ以外でも統廃合されています。小学校も危ないようです。

 台東区といえば、上野のアメ横や、浅草が有名で観光収入があるかもしれませんが、 私の住んでいる柳橋(浅草橋)には人形問屋や玩具問屋が多く観光収入はあまり期待 できませんが・・・

 つい最近も、昔ながらの料亭も廃業し芸者さんの組合もなくなってしまったようです。今日明日は、お祭りがあるので人はたくさん出ると思うのですが、年々寂しくなって きています。

 とレスポンスしてくれる。書くことによって、私の知識も増えるのですから、ある意味では楽しい。木村さんなどを中心にいろいろな方が教えてくれるソフトウエアやサイトはこれまた非常に役立っています。先日紹介したアーサー・リトルの小林さん(白塚さんの先輩でした)からはその後メールを頂き、「last 1 mile」(私は last mile と書きましたが、正確には「1」が入る)について
 ところで、セミナーで話題になっていたラスト1マイルについては、あと2つNTTをスルーする方法があります。1つはWorldComがやっているように自分で穴を掘る方法。こんな酔狂なやつはそうはいまいとおもっていたのですが、このところ公式、非公式に名乗りをあげる ところが数社出てきました。少なくとも企業向けについてはあと数年で環境が大 きく変わりそうです。

 もう1つはCATVを使う方法。アメリカではAT&Tが、日本ではJテレコムが力を入 れており、あちこちのCATV会社のケーブル長期利用権を押さえているようです。 CATV会社自身がやる例もあって、日本でもジュピターやタイタスがNTTよりも安 い料金での通信を実現しています。家庭用はこちらが本命かもしれません(もっ ともアメリカでは折角AT&TがあちこちのCATVの利権を押さえたのに、他社にも使 わせるように、との御上の判断がでて、AT&Tが骨折り損になったようですが)。

 無線は日本でもDDI等が取組もうとしていますが、既にビルの屋上利権を巡って 熾烈な争いが生じています。ちなみに先行するアメリカでは、CLEC (Competitive Local Exchange Carriers)が同様にビルの屋上の取り合いを していますが、そうした利権を仲介することで御金儲けしている、なかなかに頭 のよい人たちもいるようで、日本でもこういうビジネスが生じるかもしれませ ん。

 紹介できないメールもいろいろありますが、まあそれを含めてこのサイトが interactive である限りは、価値があると思っているのですが。でもちょっと不満なのは、内藤君のサイトの更新もとまったりして、朝楽しみに読めるサイトが少なくなったこと.....。


99年06月06日(日曜日)

 イベントフルな週末でしたね。土曜日は中学生の運動会。今年が中学生として最後ですから、歩いて30秒の校庭まで見に行きましたが、さすがに中学生も「選抜リレー」となると迫力がある。かなり速いのです。応援には力が入りました。相も変わらず「tug of war」に引っぱり出されましたが、2回もやらされたら疲れた。一勝一敗。

 天気も良かったせいか、かなりの数のギャラリーで賑やかだった。もっとも6学年ある小学校のそれより、総数ではギャラリーは少し少ない気がしましたが、まああんなものでしょうか。しかし、彼らが展開した「騎馬戦」にはがっかりしましたね。昔の猛々しさが全くないのです。何かお互いに触りあって終わり....みたいな。先生が心配して戦いの近くでケガのないように見ている。

 日曜日はかわいいお嬢ちゃんが二人。両親に連れられて。上のお姉ちゃんは以前に我が家に来たことがあるのですが、3才になった。最初は人見知りしていたのですが、蚕糸の森公園に散歩にいくころにはすっかり慣れた。下に妹ができて、2ヶ月。首がすわったところ。この子には、びっくりしました。3時間強いて全く泣かなかった。ずっと機嫌が良かった。嬉しいことですが。公園の水回りでは、子供たちが水着で来て、小川に入っていた。すっかり夏の風情。木が多いところは温度が低い。

 ご一家は7月にアメリカに赴任する。ワシントンです。聞いていたら、家賃がすごく高い。売りにでる物件が多くて、リース市場に出てこないのだそうです。70年代の後半のアメリカの話をしても仕方がなかったのですが、そのころはニューヨークのアパートメントは結構な物件で1000ドルも出さなくて借りられましたから。ご主人は3年の予定。奥さんと子供は来年の3月までは一緒。それから後は不明。居られると良いのですが。今から3年たつと、アメリカも相当様相が違うだろうな.....。その間に、是非行きたいものです。
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 Y2K に関しては、引き続き話題が尽きない。この週末には、ニューヨーク証券取引所、NASDAQ、それにアメリカン証券取引所が「今年の12月31日には、取引を午後の1時に打ち切り、2000年に備える」と発表。またニューヨーク証取は、NASDAQ が検討している取引時間の延長(一回取引を終了して、午後6時から数時間取引を再開する案)に関して、「2000年下半期まではやらない」との方針を明確にした。

 むこうは結構真剣ですな。日本はどうなっているんでしょうか。まあ私の楽観的な見通しとしては、「日本は問題が起こるかもしれない。しかし起こった後の修復は早いだろう」というもの。以前にも書きましたが、人命に関わる問題以外は「タイムスパン」が重要だと思っているのです。起きてもすぐ直れば問題は少ない。重要なのは、パニックにならないことです。

 最近もらったメールでは、「1999年から2000年にかけて飛行機を飛ばさない会社が出てきている。しかし、もしそれが流れとなって世界中で飛行機が全部地上に駐機するとなったら、いったい車庫(駐機場)が足りるのかい.....」という面白い問題を提起していたのがありました。馬場さんからもらったメールでした。日本の航空行政では国内登録飛行機はすべてどこかの飛行場を「定置場」として登録しているはずで、それが車の車庫証明のようないい加減なものでなければ、大丈夫だそうです。しかし、海外の飛行機が来たら....。ははは、たぶん駐機しきれないでしょうな。

 馬場さんのメールでは、世界の航空機の稼働率は80%だそうです。つまり、飛行機(といっても民間ですが)の数に比して、普段は2割の駐機場が稼働している。8割は空か、地上で移動中。たぶん、全部の飛行機が地上に降りてきたら、駐機場は足りないでしょうな。まあ大きな道路も使おうと思えば駐機場になりますが....。


99年06月04〜5日(金〜土曜日)

 日経の朝刊にも載っていたようですが、金曜日に家に帰ったら澤上さんから封書が届いていて、いままでの「さわかみ投資顧問株式会社」から「さわかみ投信株式会社」になりました、と。「サラリーマン家庭の資産づくりを長期運用でお手伝いさせていただこうと頑張っている弊社にとって、投信業務の認可をいただけたことは極めて大きな前進となります」とある。

 わたしはこの分野にはそれほど詳しくはないのですが、投信顧問業務ではいろいろな制約が多かったのだろうと思います。今後は「投資信託」という器を使えるようになる。独立系としては初めての投資信託業務の認可だという。澤上さんとは、当時私がやっていたテレビ番組にゲスト出演していただいたのがきっかけですが、その後も機会があればお会いしていて、いつも思うのは「資産運用にかける熱意」です。完全成功報酬だから、今までは大変だったと思いますが何時お会いしても前向き。封書には

  1. 将来とも、長期運用型の投信一本でいく
  2. これまで通り、営業は一切しない
  3. 長期運用を是とするお客様と小さく生んで大きく育てるを目指す
 とある。頑張ってほしいものです。「投信の委託運用業務と一任業務の認可」に関していうと、証券投資信託業務は「認可番号 金融再生委員会 第12号」、「投資一任契約に係わる業務」に関しては、「認可番号 金融再生委員会 第8号」。金融再生委の認可ですから、番号が若い。
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 金曜日だったと思うのですが、ホテル・オークラのランチオン・ミーティングではこの会社の Enterprise Data Solutions のロイド・カーニーさん(president)の話を聞いたのですが、なかなか興味深かった。英語で、しかもハイテク用語が飛び交う話ということでどのくらいわかるか不安だったのですが、半分くらいは分かったかな......(自信なしですが)。

 参加者の9割近くは非日本人で、通訳なし。しかし聞いていて思ったのは、アメリカのコンピューター通信の最先端企業のエグゼクティブの話でしたが、私の知識からそれほどかけ離れた話をしているわけではない、という点。聞いていておもしろかったのは、やはり日本では NTT が日本のデータ通信の発展に大きな障害になっているという点と、通信が家庭やオフィスに入る最後のところを「last mile」と言うらしいのですが、幹線が高度化されても、この「last mile」のところで大きな制約が生じているということ。

 カーニーさんがいっていたのは、この「last mile」の問題は結局のところ解決策は「wireless」にあるだろうという点で、彼はコンピューター通信のかなりの部分が3年以内に「wireless」になり、それがネットワーク全体の効率性を大きく向上させるだろうと予言。日本でも cdmaone は年末から 64K の通信が可能になる。としたら、 64K のISDN 回線はなぜ必要か.....という問題にぶつかります。(電波は体によくないとか、ガソリンスタンドでモバイルすると発火の危険ありといった問題はありますが)

 コンピューター通信環境が良いのは、アジアではオーストラリア、アメリカ大陸ではチリだそうで、まあ日本は最後の方にいるんでしょうな。ネットワークのコストが高いと国際競争力にも響く時代ですから、日本のネットワーク環境も早く改善してほしいものです。夜11時からとか、ばからしい。いつでも安い同一料金でネットワークを利用できるようにしなかったら、日本での本当のネットワーク通信の時代は始まらないと思います。

 このミーティングには本の出版記念パーティーに出席していただいた小林さん(アーサー・リトル)から「伊藤さん....」と。実はカーニーさんを呼んだのは彼の会社らしい。グレン福島さんも来ていました。パーティーで名刺を交換した人に会えたとは、嬉しいですね。


99年06月03日(木曜日)

 なんだか、めちゃ忙しいですね。木、金の2日間でセミナーが三つ。一つは私がしゃべるやつですが、二つは聞く奴。喋る方は、それでもちゃんと準備をしなければならない。木曜日に出席したので面白かったのは、私が所属する機関が主催者の一角を占めた「シルバー・ビジネス最前線:新たな連携への展望」。今までこの種の問題には関心を持っていなかっただけに、新鮮でした。

 自民党や公明党の一部から「延期論」が出ている「公的介護保険」の制度に関するもの。導入するに当たっては、40才以上の人の負担が増えるんですな。月2500円とか3000円。で、選挙を控えた今の時期は実施に妥当ではない....という議論にお見受けする。しかし、これは実に息の長い問題で、「選挙だから」という理由で一時実施延期というのはどうでしょうか。都や民間企業の方が講師を務めていましたが、いろいろな問題がありそうです。「東京都の区市町村別高齢者人口」という表があって、ここで言う「高齢者」というのは65才以上を言うのですが、台東区が20%を超えている。対して、江東区は14%台。東京の西にすんでいる人間にはなかなかわからないのですが、江東区にはマンションがいっぱいできて、それが平均を引き下げているのだそうです。
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 経済企画庁が「ついに内外価格差がなくなった」と3日に発表。ネットでの読売新聞報道をちょっとお借りすると

欧米との内外価格差、ほぼ解消

 経済企画庁は三日、東京と欧米主要都市の生計費を比べた九八年の内外価格差調査を発表した。東京の物価水準はニューヨークの一・〇八倍で三年連続で価格差が縮小し、調査を始めた八八年以来最も価格差が小さくなった。パリとベルリンに対しても価格差はほとんどなくなったほか、ロンドンに対しては東京の物価の方が初めて安くなり、欧米主要都市との内外価格差はほぼ解消した。円安に加えてデフレ圧力で国内物価が下落していることが追い風となった。ただ、食料品や家賃など生活により密着した商品では大きな価格差が残ったままで、日本の高コスト体質の改善はなお大きな課題といえる。調査は消費者が日常購入する商品やサービスなど約四百品目の価格について、九八年の平均為替レートをもとに昨年十一月時点で欧米五都市と東京を比較した。

 それによると、東京の価格はニューヨークの一・〇八倍で前年より0・10ポイント縮まったほか、パリとは一・一五倍で0・08ポイント、ベルリンとも一・二一倍で0・09ポイントそれぞれ縮小した。

 長かったですね。筆者は、80年代は日本経済は「圧力釜経済」だと言い続けた。そうでしょう。中は凄い圧力。物価も、資産価格も巨大なエネルギーを抱えて上昇していた。それが蒸気が抜けて圧力が低下し、物価水準がついにニューヨークやロンドン、パリと同じ程度になってきた。

 一部の物価については、諸外国と東京(デフレや円安で下がって)が並んだことは実感でもわかります。しかし、公共料金が高い。日本は。税金も高い。で、どうでしょうか。これは日本国民に宣伝するのではなくて、海外に宣伝したら。「日本は高いから....」という理由で日本に来ない人が一杯いる。日本には長い伝統もあるし、便利な足もある。観光を大きな産業にしなければならない、と思っているのですが。


99年06月02日(水曜日)

 会社を原宿に移した下村さんととりあえず南国酒家で食事をしましたが、あとでオフィスにお伺いしてびっくり。本当に私のオフィスに近い。歩いて、10分くらいですかね。気分の良い天気の時には、足を伸ばすのにちょうど良い良い距離です。

 下村さんのオフィスは南国酒家からは少し遠いので原宿の明治通り沿いを話をしながら歩いたのですが、引き続きこの街は活気にあふれている。若い連中も多いし。流行にも敏感になれる。大手町や丸の内など街としては死んでいるところで株価の予想をするのと、原宿の近くにオフィスを構えて予想をするのとでは、随分違った結果になるかもしれない....なんて話をしながら。

 周りの雰囲気というのは大きい。景気予測もそうです。もっと重要なのは、原宿は一大消費地ですから、消費の動向を見るのには適している。その点、大手町や丸の内は何に優れているのですかね。そうだ人と会うのには便利。しかし、昼にあそこで食事でもしようと思ったら、大変ですな。私もいたから良く分かる。食べれるけれども、ゆっくりは出来ない。
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 帰りにぶらぶらと歩いていたら、携帯に電話。だれかと思ったら、就職を探していた S さんから。外資系商業銀行のプライベート・バンカーになることが決まったと。どの銀行も今力を入れているプライベート・バンキングの先頭に立つわけです。一定の資産を持つ人を対象とするバンキング。まあ、各社力を入れているから、いかに早く、良いお客を取るかが鍵でしょう。あとは、継続的サービスの質。

 4月の男性の完全失業率が5%に乗った。「不況だから...」という解説が必ず付く。そうだけれども、産業構造の大きな変化を見逃している記事が多い。日本経済を見ても、大変なミスマッチが生じている。どの会社も、一定のスキルを持っている人は喉から手が出るほど欲しい。しかし、そういう人は少ない。在来型の仕事をする人は大勢いる。このミスマッチは大きい。このギャップを埋められる人は、あまり心配もせずに職を見つけることが出来るというわけだが、そういう人が少ないから失業率が上がる。

 これは、国や民間の制度の改善と同時に、個々の人の努力、才能の発揮が必要なんでしょう。


99年06月01日(火曜日)

 朝ちらっとみたヘラトリの記事には笑っちゃいましたね。アメリカの核弾頭の秘密を盗んだと非難されている中国。私はこれは、中国の大使館を誤爆して立場が悪くなったアメリカが、中国に対するカウンターパンチとして放った温めネタだと思うのですが、中国も黙ってはいない。

 西側の報道陣を集め、カメラの照準を会わさせておいて何をしたかというと、コンパックのプレサリオを持ち込んで、専門のサーファー(中国人の名前が載っていました)に「そんなの秘密でもなんでもありませんぜ....。ここにも、ここにもあります...」とやった。「professional web surfer」という職業が紹介されていて、まあ言いたいことは「盗んだなんてとんでもない。あんたら間抜けにも、インターネットに全部載せてるじゃないか....」というわけ。

 ここまでくるとちょっと子供じみているが、確かにインターネットには「え、こんなものまで」と思う情報が載っている。大まじめな顔をして「秘密だ」と叫んでみても、その情報がネットに載っていたら、とんだ恥かきというわけです。アメリカ側は中国政府が「ここにあった」と言っている情報に関しては、中国には確かに有益かもしれないが、「総括的な情報」で最後のところ核弾頭を作る詳細な情報はネットにはなく、「それはやはり中国がスパイを使って集めたのだ」と反論している。

 どっちが正しいかは知りません。アメリカは、ネットに全部載っていたなど口が裂けても言えないでしょう。しかし、何でもかなりの情報がネットで入手できることは確かです。中国のように新聞記者をたくさん集めて、カメラも呼んできてやる必要があるかどうかは別にして。
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 全米、いや全世界に支店網を持ち、従って多くの「人」(全米で1万4800人のブローカー)を抱えるメリル・リンチが、本来は支店と人を必要としない株のオンライン・トレーディングに本格的に進出することを決意したようだ。E*Trade Group や Charles Schwab に対抗して、今までの伝統的な、そして手数料の高いフル・サービスとは別立てで、一トレード最低29.95ドル(3500円くらいでしょうか)で証券のオンライン・トレード・サービスを提供するという。

 メリル・リンチは今まで、オンライン・トレーディングに一番消極的な会社だった。それはそうだ。今まで一番成功してきたから、オンライン・トレーディングの台頭を、「敵対者の登場」くらいにしか見ていなかったに違いない。しかし、特に若者のオンライン・トレーディング受け入れや、オンライン各社の株の時価総額が、自社のそれを軽く上回るのを見て、重い腰を上げたというのが事実だろう。社内では数ヶ月に渡って、進出するかどうか、進出するとしたらどういう形で....という議論を重ねたそうだ。

 当然ですが、今までのフル・サービスと新しいオンライン・トレーディングをどう社内で調和させるのかが、これからの課題でしょう。社内ががたがたするのは、目に見えている。仲介に立っていた連中にとっては、コミッションが当初だけで18%は減少する見通しという。しかし、社内からの反発を考慮に入れてもオンライン・トレーディングを始めざるを得なかった。

 これを報じたウォール・ストリート・ジャーナルは、「インターネットがいかにアメリカ経済の競争条件を大きく変えているかを如実に示している」としているが、これは別にアメリカに限った話ではない。アメリカはインターネットの普及で先を行っていて、世界各国に比べて現象が先行して出てきているだけだ。今までの店展開をどう変えて、どの部分をどうインターネットに移行し、いかに収益を上げるか。メリル・リンチの場合は、従来の証券トレードで成功した会社が、オンラインでどう成功できるのかのテストケースになる。

 オンライン・トレーディングの波は、むろん日本でもこの会社の登場のような形で本格化しつつある。この会社には、内藤君がいくことを決めたようだが、まあでも実はオンライン・トレーディングというのは世界的な規模での競争なんでしょうな。別に私が、メリルの新しいオンライン・トレーディングを始めても良い。

 新しい仕事を始めるに当たって、内藤君がページの更新を一時中断したのは残念ですが、まあ立ち上げ時は超忙しいに違いない。彼はテクノロジーに絡む勉強もしなければならないし。またの再開を楽しみにしましょう。



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